ART DESCRIPTION
アメリカ人のプロボクサー、ジョー・フレイザー(Joseph William Frazier 、January 12, 1944 – November 7, 2011)の肖像画は、2011年から2015年にかけての「PLASTER(プラスター)」シリーズによるもので、バリーの初期の肖像画作品から発展したものである。このシリーズで彼は、絆創膏をミニチュアのキャンバスに見立て、小さくて精巧な肖像画を制作している。
絆創膏のモチーフは、彼の作品にとって非常に重要であり、長い時間をかけてさまざまな形で登場する。当初、絆創膏はアクリル絵の具で表面に描かれ、一種の視覚的サインとなる(ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat、1960年12月22日 - 1988年8月12日)の作品における王冠のようなもの)。2011年、彼は絆創膏そのものがミニ・キャンバスであることに「喜びをもって気づいた」。そして、絆創膏そのものに絵を描き、ミニチュア絵画を作り始めた。人類の歴史と実存的彷徨の万華鏡のようなモチーフは、歴史上の人物や政治家、キノコ雲の形、ローマ教皇の衣をまとったアマゾンの小包の包装などさまざまだ。これらの細密画の驚くべき技巧だけでなく、歴史的なものと現代的なものの間に存在する時間を超越したものを見つけ出し、そのすべてを現在に引き寄せるの能力が、このシリーズを並外れたものにしている。