ART DESCRIPTION
この小さな肖像画は、俳優でありインディペンデント映画制作の先駆的監督であるジョン・カサヴェテス(John Cassavetes, 1929年12月9日 - 1989年2月3日)のもので、2011年から2015年にかけての「PLASTER (プラスター)」シリーズに属する。このシリーズでバリーは、絆創膏をミニチュアのキャンバスに見立て、小さくて精巧な肖像画を制作している。彼は映画から大きな影響を受けており、カサヴェテスの作品を大いに賞賛していた。それゆえ、「be as(ビー・アズ)」という言葉遊びで彼の賞賛を表現している。
絆創膏のモチーフは彼の作品にとって非常に重要であり、時を経て様々な形で登場する。当初、絆創膏はアクリル絵の具で表面に描かれ、一種の視覚的サインとなる(ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michel Basquiat、1960年12月22日 - 1988年8月12日)の作品における王冠のようなもの)。2011年、彼は絆創膏そのものがミニ・キャンバスであることに「喜びをもって気づいた」。そして、絆創膏そのものに絵を描き、ミニチュア絵画を作り始めた。人類の歴史と実存的彷徨の万華鏡のようなモチーフは、歴史上の人物や政治家、キノコ雲の形、ローマ教皇の衣をまとったアマゾンの小包の包装などさまざまだ。これらの細密画の驚くべき技巧だけでなく、歴史的なものと現代的なものの間に存在する時間を超越したものを見つけ出し、そのすべてを現在に引き寄せるバリーの能力が、このシリーズを並外れたものにしている。このシリーズの作品は、ヘルムート・ラング( Helmut Lang、90 年代ファッションを形作った一人として知られる、ミニマリズムの旗手)、ジャン・ポール・ゴルチエ(Jean Paul Gaultier 、挑発的なコレクションでファッション界に衝撃を与えた )、ジャン・バティスト・モンディーノ(Jean-Baptiste Mondino、元々はDJやコンポーザーだったフランス出身の写真家)、アズディン・アライア(Azzedine Alaïa 、流線的なラインと断続的な肌の露出で装飾を拒否した裸の洋装のチュニジア出身デザイナー)など、現代の多くの文化人の個人コレクションで見ることができる。