ART DESCRIPTION
この作品は、2006年から2011年にかけての主要な肖像画シリーズ「Is Is It」(イズ・イズ・イット)の紙作品で、肖像画への先鋭的な探求である。これらの作品の構図は、ヴェネツィア派の第一世代を代表する画家でイタリアルネサンス期の画家ジョヴァンニ・ベッリーニ(Giovanni Bellini, 1430年頃 - 1516年)や盛期ルネサンスのヴェネツィア派で最も重要なイタリア人画家、ティツィアーノ・ヴェチェッリオ(Tiziano Vecellio、1490年頃 - 1576年8月27日)などの巨匠の絵画から影響を得ており、当時のバリーは、1824年に設立され、13世紀半ばから1900年までの作品2,300点以上を所蔵しているロンドンの英国国立美術館ナショナル・ギャラリー(National Gallery)に繰り返し足を運んで鑑賞している。
伝統的な肖像画に見られる構え、力強さ、華やかさ、儀式への賛美であり、彼はここで、これらの肖像画のスタイルを、彼ら独自のスタイル(バッファローで流行り始めたもの)のテイストを入れて再構成し始める。後にこのテーマは、ニューヨーク在住の肖像画家で、権力、富、怒り、ユーモアを表現してバラク・オバマ元大統領の公式肖像画を描き、世界的な知名度を得たケヒンデ・ワイリー(Kehinde Wiley、1977年2月28日- )や、アフリカ系アメリカ人の被写体をカラフルな単色や日常的なシーンを背景に描き、シンプルなリアリズム肖像画の独特なスタイルで高い評価を得ていて、当時の前大統領夫人ミシェル・オバマ(Michelle Obama)の肖像画を描く画家として選ばれたことで一躍名声を得ているアメリカ人画家エイミー・シェラル(Amy Sherald、1973年8月30日-)など、現代の最も重要な肖像画家たちの中心的関心事となり、バリー独自のスタイルが継承されている。
またこのスタイルは、ラフや鎖帷子などの歴史的な儀式用衣服に、ストリート・ウェアやクチュールをミックスしたチューダー朝のイメージを取り入れた、バリーの最も独創的なスタイリングの先駆けでもある。
この時期のスタイリングは、『Arena Homme+(アリーナ・オム+)』誌(2009年秋冬号)で英国人写真家でありフィルムメーカーであるジェイミー・モーガン(Jamie Morgan )が撮影した、今も尚影響力のある「Monarchy in the UK(モナキー・イン・ザ・UK」シリーズで見ることができる。